鹿島槍から下山後、辰野のビジネスホテルに一泊、翌朝辰野駅から飯田線に乗車。途中、平岡駅で一泊し、翌日豊橋駅に抜けるというのが今回の計画でした。
写真の左側の白い建物が、私の宿泊したビジネスホテル。前を流れる川は飯田線とほぼ並走して流れている天竜川です。
▲こちらが辰野駅。思っていたより大きくて、立派な駅でしたが、建物としてはちょっとそっけない感じ。下が駅前の写真ですが、大きな商店はなく、コンビニも見当たりませんでしたので、必要な買い物は済ませてから駅に向かった方がいいと思います。
この先にも飯田駅や平岡駅など食事のできる駅はあるのですが、意外となかったのがドラッグストア系の店。イオンやマツキヨもあるところにはあるんです。しかし、車で行くのが前提となっているので、電車で移動する人にとっては逆にアクセスが悪い。私の個人的意見だと、薬や日用品、女性だったら化粧品、それらはここから先、手に入りにくいと思っていた方がいい。必要か否か迷うものは買っておきましょう(笑)。
この日私が乗車したのは、8時55分発の各駅停車。まだ朝の通勤時間だったせいか、入線してきた電車は山手線のようなロングシートタイプ。すべてが特急タイプのクロスシートだと思い込んでいたので驚きました。車窓の眺めを楽しみたい旅行者にとってはちょっと残念。
▲辰野駅の隣・宮木駅。ご覧の通り、駅員もおらず、券売機もありません。ここから先は無人駅が当たり前になるので、乗車してから車掌さんから切符を買うシステム。
辰野駅で乗車した段階では、立っている人はおらず、ロングシートもギチギチではない程度の乗車率。やがて少しずつ乗客が降りて行き空席が増えてゆく。
木曽駒ケ岳への玄関口である駒ヶ根駅で、登山装備の乗客が二人降りて行き、入れ替わりに下山してきたらしい男性が一人乗ってくる。この段階で乗客は私を含め三人。ほぼ貸切状態なので、駒ヶ根で乗ってきた男性も、シートに横座りし、ブラインドを上げて車窓の風景を楽しんでいる。私もそれに習う。
11時17分、飯田駅着。多分飯田線で一番大きな町。ここを逃すと、この後食事のできる駅は少ない。私も駅前の喫茶店でドライカレーを頼む。お店の人と話したところによると「今日がこの夏で一番暑い」とのこと。喫茶店のトイレには、なぜかヘップバーンがいた。
上は飯田駅近くの洋菓子屋さん。さすがに40度近いこの日の気温を考えると、持ち帰りというわけにはいかなかったが… 今後機会があったら食べてみたいもんです。
やがて列車は天竜峡を通過し、断崖絶壁の秘境駅で有名な田本駅へ。
いや、でも… 人間、いるよね… 遠くからホームを元気に駆けてくる小学生が(笑)。私が乗ってきた電車に乗らなかったところを見ると、どうやら車で観光に来ていた家族だったようです。
夏休みの田本駅は、もはや秘境ではなかった(笑)。
田本駅から隣の温田駅までは、本来は歩ける。さらにこの温田駅から隣の為栗(してぐり)駅も、時間をかければ歩けるようだ。
私も歩くつもりだった。
鹿島槍を縦走した時の装備を背負ったままとはいえ、私の脚なら問題なく歩けるはずだった。
気温さえ普通ならば。
この日の現地の最高気温予想は、38℃だった(笑)。
いや無理だよね、やらない方がいいよね… と思いながらも、とりあえず駅からはるか下に見える橋(▲写真の南宮大橋)までは歩いてみようと坂道を降りて行ったところ… 40℃近い気温の中、橋の上を中学生がランニングしている姿を見て戦慄した(笑)。まあ、向こうから見ても、この炎天下に60リットルザックを背負って歩いている私も狂気の沙汰だっただろうけど。
はい、もちろん歩くのは諦めました(笑)。これはもう隣の駅まで歩こうなんて気温じゃなく、不要不急の外出は控えてくださいレベル。途中でぶっ倒れたら完全に自己責任。駅まで引き返すにも日陰から日陰を渡り歩き、途中で何度も水分補給。もはやこれは秘境駅巡りではなく、熱中症との戦いだ。
せめてもの駄賃にと、橋のたもとの目についた建物を幾つか撮影し、温田駅まで引き返す。
次の電車までは約1時間。しかしこの駅には冷房がない。ついでに時計もない。営業していればそこだけは冷房が効いているという売店も、今日は午前中で店仕舞いしている。
待合室にいるのは、私と地元の女性、これから静岡まで帰るというお父さんと、病院帰りのお祖母ちゃん。あまりの暑さに、冷房のない待合室の四人に不思議な連帯感が生まれ、誰からともなく世間話が始まる。地元のお姉さんからは、私が宿泊予定の平岡の街や宿泊施設について沢山情報をいただいた。ありがとうございます。
名古屋では観測史上最高の40.2℃を記録したと、その日の夜のニュースで知った(笑)。
歩かなくてよかったよ…