『春のとなり』泡坂妻夫

春のとなり

 いやぁ、ヤバイです。新年明けて、仕事でバタバタしていたら、あっという間にGW。それどころか、平成が終わり、令和が始まってしまいました(笑)。ちなみに、平成の最後に私が読んだ、ラスト二冊はこれ。

『春のとなり』泡坂妻夫(再読)
『屋上』島田荘司

 うーむ、バリバリの平成作家というよりは、昭和から平成にかけて活躍した作家さんのセレクトになってますね。ちなみに、平成元年の「このミス」では、島田荘司の『奇想、天を動かす』が3位。泡坂妻夫の『びいどろの筆』が11位に入っています。

『春のとなり』を再読した理由は明確。『泡坂妻夫引退公演〜絡繰篇・手妻篇』が文庫化されたからです。発売当時は高くて手が届かなかった作品をやっと手に入れ、しかし惜しくてすぐに読む気になれず、最後の長編である『春のとなり』の再読に手をつけたという流れ。泡坂作品といえば、このところ創元推理文庫や河出文庫で、絶版になっていた昔の作品の文庫化が続いていますが、この作品はいまだ文庫化されてないんですね。まあ、ミステリではないので厳しいかもしれないなぁ。分類すれば青春小説(?)になるのだろうけど、主人公の新庄秀夫(泡坂妻夫=厚川昌男ご本人がモデル)は、若いのにどこか老成したキャラで、溌剌とした青春物にはなっていない。むしろ、終戦直後の神保町界隈の風俗小説として読んだほうが楽しめそうです。

荻窪・邪宗門

荻窪・邪宗門

 …というわけで、今回の関連写真は、荻窪の純喫茶・邪宗門の写真を。このお店はいまでも現役。創業者の風呂田政利さんは、アマチュア・マジシャンでもあり、厚川昌男氏とも交流があったとか。

中野・クラシック

 純喫茶つながりでこちらもどうぞ。昔、中野駅の近くにあった名曲喫茶・クラシック。こちらは非現存物件です。

 ん?『屋上』(島田荘司)の話はって? うーん。この作品に関しては、あの物理トリックが成立するかよりも、事件関係者に次から次へと不幸が襲いかかることが気になってしまったなぁ。何もあんなに不幸にしなくても… そう思ったのは私だけですか?



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