平岡駅の夜明け。
昨日の夜からホームに止まっていた列車が、そのまま今朝の始発電車になった。
昨夜は駅の電気が消え、駅前通りが真っ暗になってから高校生がジョギングをしていた。もはや昼間にトレーニングができる気温じゃないのだろう。
私も当初から大幅に予定を変更。現地に来るまでは日が長い季節だし、18〜19時ごろまでは動けると思っていたがとんでもない。勝負は午前中! 少しでも涼しいうちに出発したい。まだ駅の売店も開いていない時間だが、登山の残りのカロリーメイトを朝食にして始発に乗る。
飯田線の中でも特に有名な秘境駅である小和田駅。
昨日は田本駅にも為栗駅にも先客がいたが、始発で動いたせいか、ここでは私ひとりだった。
ここは同一方向に動くと次の電車は1時間後だが、来た方向に引き返すと次は30分後。
最初はそんなものでいいと思っていた。しかし、いざ来てみると時間が足りない。駅から続く歩道を、行ける場所まで歩いてみたかったし、河原の写真も撮りたかった。ここは秘境駅で有名になったけれど、この風景がもっと評価されてもいいと思う。待合室でゆっくりコーヒーを飲む時間すらなく、慌ただしく引き返してしまったのが本当に残念だ。
地獄のような猛暑との戦いだった(笑)今回の飯田線の旅で、初めてひと息つけたのが、この駅での数十分だった気がします。
小和田駅から平岡駅に引き返し、そこから特急に乗り換える。
終点の豊橋駅までの間、最後にもう一カ所立ち寄ったのが、この湯谷温泉駅だった。
飯田線の前身のひとつである鳳来寺鉄道が、大正12年(1924)に長篠駅(現・大海駅)〜三河川合駅間で開通した際に設置された木造駅舎で、当時の名称は湯谷駅。会社直営の旅館が併設されていた駅舎だそうだ。その後、昭和18年(1943)に国有化され、国鉄民営化後の平成3年(1991)に湯谷温泉駅と改称される。
残念ながら旅館だった部分は見学できないし、外観も窓だった部分に無骨な目隠しがされているし、建築物としてはどうも見栄えはしないのだが、面白い成り立ちの駅である。
駅舎に関心はなくても、そこは温泉街。風景は綺麗だし、食事を取れる店もある。中井侍、小和田、大嵐とこの辺の秘境駅を超えた後、豊橋までの間にもうひとつ降りてみるならここじゃないでしょうか。
さて私はというと、特急列車を一度降りてしまったために、次の電車まで30分もない。仕方なく昼食も取らずに電車に乗るが、豊橋が近づくにつれ、どんどん空腹が激しくなってくる。
そういえば… 自分は今日、朝からカロリーメイト1袋しか食べてない!
いやいやもっと根本的に、ただでさえ登山でカロリー消費しているにもかかわらず、下山してから定食をガッツリ食ったことあったっけ? あまりの暑さにここ二日ほどは、水分補給のほうが優先されていたのでは?
長い間憧れつつ、40℃近い猛暑に翻弄された今回の飯田線ツアー。最後の数十分は情緒のカケラもなく、私の頭の中を回っていたのは「到着したらトンカツ」「到着したら牛丼」、そんな言葉ばかりだった…
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