迷宮建築物いろいろ&『時間のないホテル』ウィル・ワイルズ

時間のないホテル

 巨大迷宮建築物と聞くと血湧き肉躍る。これは性癖である。もはや仕方がない。
 昨年末に読んだ『横浜駅SF』(柞刈湯葉)とか、『海と月の迷路』(大沢在昌)など、作品の舞台だけで加点してしまう。
 で、今回手に取ったのが『時間のないホテル』(ウィル・ワイルズ)。分かりやすいですね(笑)。

 作者はロンドン在住。にもかかわらず、舞台となるホテルは重厚なクラシック・ホテルではなく、全世界に支店を持つ米国のチェーン・ホテル=WAY INN。主人公のニール・ダブルはイベント出席代行業者という変わった職業で、世界各国のWAY INNを泊り歩いて業務を遂行する。

 この男がイベントの主催者に正体を見破られたり、そのおかげで通行証を使用不能にされたりと、様々なトラブルに見舞われてドタバタする導入部が意外に長い。いよいよ建物が正体を現し、こちらの期待する展開になるのは作品の半分が過ぎてから。ただ、この日常パートともいえる前半部がなかなか面白い。後半のSF部分も決して悪くはないのですが… チェーン・ホテルが舞台というのは新鮮だけれど、やはり重厚な建築物が見たいという気持ちがどこかにあったのかも。これは性癖、仕方がない(笑)。


BLAME!

「巨大迷宮ぐちょぐちょ建築もの」というともうひとつ。映画『BLAME!(ブラム)』も最近観ました。白状いたしますが、私は原作漫画を最後まで読んでおりません(汗)。したがって原作との比較という意味では的確なことは言えませんが… 「ぐちょぬる建築物が見たい」という要望にはたっぷり応えてくれました(笑)。

 この映画と原作との関係は、原作の設定と主人公を生かし、別のストーリーを組み上げた感じ。映画のクライマックスである戦闘シーンは原作では二巻の事件だし、時系列も組み替えられており、カットされている設定も幾つかあります。

 おっさん的には『銀河鉄道999』の映画と原作を思い出してしまいました(笑)。どことなく摑みどころのなかった原作に対し、起承転結のあるストーリーに組み替えたのが映画版。
 この『BLAME!』も、主人公が旅先で様々な事件に遭遇するという原作を、映画版ではある村で起こった事件だけを取り上げ、村の娘の視点から描く構成となっており、ストーリーの骨格だけなら、まんま西部劇(笑)。ある村を流れ者が訪れて、村の人々を救い、また旅立っていくというあのパターンですね。

 いや、世界観のわりにはストーリーが古くさいとか言いたいわけじゃないんです。むしろ骨格のしっかりした、分かりやすいストーリーがあったおかげで、余計なことに頭を使わず、存分に建築物や世界観を堪能できた気がします。

 たぶん原作ファンはあの説明抜きの硬質な世界が好きなんだろなぁ… と思いつつ、自分も一度は挫折した原作をもう一度読んでみようかと思っております。


 ついでにこれまで出す機会がなかった写真を同時に公開。
 川崎クーロンこと、川崎のゲームセンター「ウェアハウス川崎」ぐちょぐちょ建築といえば、やっぱりこれでしょ。

ウェアハウス川崎

ウェアハウス川崎

ウェアハウス川崎

ウェアハウス川崎

ウェアハウス川崎

ウェアハウス川崎

ウェアハウス川崎

ウェアハウス川崎

 想像以上に作り込んでいて見応えがありましたよ。



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