『○○○○○○○○殺人事件』早坂吝

marumaru

例えば宴会で「ギャグやりま〜す!」と言って、大笑いを取ったら凄いと思う。
逆に何が面白いのかさっぱり分からず、全員をポカーンとさせることになったら、それはそれでネタにはなる。

一方で、女子社員のいる前で、堂々と下ネタを繰り出し、「まったく、しようがねえな」と苦笑いさせた場合、そんなネタをぶちかました度胸は買うが、ギャグの出来が良かったのかというとそれは微妙。

この本の読後感はそれに近い。

この作品、ミステリとしての文法はしっかりしている。「孤島」や「仮面の男」という本格系おなじみの要素にプラスして、犯人絞り込みのロジックなどは、新本格の○○さんが書きました、と言っても違和感はないぐらい。だけど骨格がしっかりしているせいで、逆に破壊力が落ちてる気もするんですよね。地雷が踏みたくて思い切り踏んだら、「あれ? これ地雷じゃないやん」って感じ。これが構成自体が崩壊しているような作品であったなら「いや〜、新年会で××君がやったネタで、みんなドン引きしちゃってさぁ〜」と人に話せるのだが。

「駄作」との境界線上ではなく、「良作」との境界線上にある「バカミス」というべき?



コメントを残す

*