このミス2014年版雑感&連城三紀彦のこと

konomisu2014

今年もこの季節がやってまいりました。
私の今年の予想は、

【海外編】
単勝:HHhH(ローラン・ビネ)
複勝:ポーカー・レッスン(ジェフリー・ディーバー)
複勝:コリーニ事件(フェルディナント・フォン・シーラッハ)
複勝:緑衣の女(アーナルデュル・インドリダソン)

【国内編】
単勝:なし
複勝:死神の浮力(伊坂幸太郎)
複勝:海と月の迷路(大沢在昌)

でした(なお、複勝はベスト10入りしたら的中とするw)。

昨年の『都市と都市』といい、今年の『HHhH』といい、ここ数年の私の予想は穴狙いに走りすぎてるな(笑)、反省。無印だったミネット・ウォルターズ『遮断地区』が2位。うーむ、そうか。確かに面白かったけど、個人的には違う作家が書いた方が盛り上がりそうなストーリーだっただけに、評価を下げてしまいました。いいセンを突いていたのは、ディーバーは『シャドウ・ストーカー』よりも短編集『ポーカー・レッスン』のほうが評価されそう、ってことぐらいか。

国内は新作をあまり読んでなかったので、ほぼ予測不能。『海と月の迷路』はベスト20なら… と思ったけど、圏外でした(笑)。自分としては、ベストテン入りした『BDT』等より好きだったけどな。宮部みゆきは残念でした。昨年2位の『ソロモンの偽証』が今年の作品だったら、圧勝していたのではと思わせる結果だったと思う。

もしかしたら、今年の「このミス」のメインは『発表!いま読みたい「幻の名作」ベストテン』という特集ページのほうだったのかも。ベストテンの中に連城三紀彦の作品が『夜よ、鼠たちのために』『宵待草夜情』『私という名の変奏曲』と三作もランクイン。結果として「このミス」なりの連城三紀彦追悼企画になってますね。

十月二十二日に連城三紀彦の訃報が流れてから、本棚にあった連城作品をかき集めて読み直しています。新作が出たら必ず買う作家ではなかったけど、探してみると代表作はほとんど持っていたことに驚き。

読み返してみると、むしろいま読んだほうが印象がいい。「夜よ、鼠たちのために」なんて短編にしておくのは勿体ない。この作品は警察側の視点があまりないのだけれど、警察側の登場人物を増やし、回想シーンを増やしたら、あっという間に長編が完成しそう(笑)。これを短編で出してしまうところが連城三紀彦の底力であり、当時の編集者の懐の広さだったのかな。

あまりにも文章力があり過ぎたせいで、純文学畑に引っ張られてしまった人だったけれど、この人の晩年の作品が『人間動物園』や『造花の蜜』のような正統派サスペンスであって本当によかった。作家生活の最後をミステリで締めくくってくれたこと、最後の最後にミステリに帰ってきてくれたことを、本当に感謝しています。

余談ですが、上の『「幻の名作」ベストテン』に泡坂妻夫の『妖盗S79号』が入っていたけれど、これはちょっと不思議です。泡坂妻夫の埋もれた佳作なら『迷蝶の島』や『喜劇悲奇劇』を挙げたい。それと『花嫁のさけび』。××トリックを扱った作品の筆頭に挙げられるべきだと思うんですけど、この作品も埋もれてますね〜(笑)。



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